ムーンストーンとは
長石(フェルドスパー)という鉱物グループの一種です。語源はギリシャ語で月を表す「セレニテス(selenites)」からきています。
古来より、月の光でこの石を見ると「月の満ち欠けに従い、その形も大きくなったり、小さくなったりして見える」ということに由来しています。
その名が示す通り、世界各地で月のパワーを秘めた石として、大切にされてきたと言われています。
「ムーンストーン」という名称で呼ばれ始めたのは、1600年代頃と言われております。
石の内部にある層が光を反射して出現する真珠のような柔らかい光の効果を「シラー効果」と呼び、ムーンストーンにみられる特徴です。
その光の色は、ブルー、ピンク、オレンジ、白、グレーなど様々な色が確認でき、レインボームーンストーンとも呼ばれます。
6月の誕生石としても有名です。
ムーンストーンの意味・効果
- 永遠の愛を象徴
- 魅力を高める
- 月のエネルギーをキャッチ
- 女性特有の障害や悩みをサポートする
- 持ち主を守護し、愛情で満たしてくれる
- 家族や親しい友人などの危険を察知し、守護するパワー
- 恋人や友人と仲直りをしたいときに
- 将来への見通しや未来予知
ムーンストーンの歴史・逸話
この石は、17世紀頃までギリシャ語で、「月」を意味する「selene」や「selenites」と呼ばれていたそうです。
月の光が暗い夜を照らし、旅人を導くとされていたことから「旅の石」とも呼ばれ、旅の安全、特に航海のお守りとして扱われていたそうです。
月の満ち欠けにより、輝きを変化させるとも言われ、古代ローマの博物学者プリニウスの著書「博物誌」にも、「この石は月の満ち欠けに従って、その形も変化する」と記されています。
実際に、表面に現れるシラー効果は見る角度によって、輝きに変化が現れます。その輝きが古代のローマ人を魅了したのかもしれませんね。
また、16世紀のイギリスの国王エドワード6世は、この石によってさまざまなことを予知、予見し政治を執り行ったとも言い伝えられています。
さらに、インドでは月が宿る「聖なる石」として、尊ばれ、農業に従事する人々は豊作を願い、この石を農具に装着していたと伝えられています。
DATA
英名 | Moonstone |
和名 | 月長石(きんせいせき) |
組成 | K(AlSi3O8) |
色 | 無色、白色、灰色、橙色、淡緑色、黄色、褐色、淡青色 |
光沢 | ガラス光沢 |
結晶系 | 単斜晶系 |
へき開 | 完全 |
硬度 | 6.0~6.5 |
比重 | 2.55~2.63 |
ムーンストーンの主要原産地
インド、スリランカ、ブラジル、マダガスカル、ミャンマー、タンザニア、アメリカ
ムーンストーンの浄化・お手入れ
硬度が低く、平らで薄い結晶が重なり合った構造のため、剥がれやすく割れやすい石です。
超音波洗浄は避け、衝撃にも注意が必要です。
ムーンストーンとペリステライト、ラブラドライトのお話
長石(feldspar)は主成分をアルバイト(NaAlSi3O8)、アノーサイト(CaAl2Si2O8)、オーソクレース(KAlSi3O8)とする固溶体鉱物の総称で、その3種類の混ざり方で様々な名前がつけられています。
ムーンストーンは当初、「オーソクレース」を主とした、「アルバイト成分」を含有するものを「ムーンストーン」と呼んでいました。
シラーもブルーに輝くことから「ブルームーンストーン」とも呼ばれていました。
しかしながら、現在では「ムーンストーン」の鉱山が閉鎖し、産出がストップ、流通量がほとんどないと言われております。
その後、当初ムーンストーンとされていた石が、ほとんど姿を消したことから、ムーンストーンと同様のシラー効果を見せるラブラドライトやペリステライトがムーンストーンとして流通するようになりました。
ペリステライトはペリステリズムと呼ばれるムーンストーンに似た青いシーン効果を呈すことから市場では「ブルームーンストーン」と呼ばれております。
一方、ラブラドライトは青色だけではなく、様々な色合いのシラー効果を示すことから「レインボームーンストーン」と呼ばれます。
現在、市場ではラブラドライトやペリステライトがムーンストーンとして流通しています。
かと言って偽物でもありません。なぜならばそれが当たり前のように流通しているためです。
とても厳密にいうと「ムーンストーン」ではない、その程度のレベルです。